百万石タイムズ

チラシの裏

深夜のボタン押し

私は現在大学4年生、アルバイトなどをして日々食いつないでいる。

先日アルバイトをしているときにこの出来事はおこった。

 

 

私は深夜にガソリンスタンドでボタンを押すというチンパンジーでも出来る仕事をしている。

勤務時間は夜の23:00から翌日の朝8:00まで。

 

そんな簡単な仕事をしているとどうも退屈で、ゲームをしたり、本を読んだり、楽器を弾いたりとやりたい放題だ。

トラブルが起こることもほとんどなく、職場ではわが物顔で自由に過ごす。

 

だが、だいたい朝の3:00には眠気に負けて寝てしまう。

そんなときは給油ボタンを押さなくともいいように、自動給油許可に設定する。

あとは持ち込んだ枕で大の字となる。

 

そんな状態で仮眠をとっていた私に、店内に常設されるインターホンから呼び出しがかかった。

 

話を聞いてみるとどうも外に設置されている機械の具合が悪く、給油できないとのこと。

慌てて飛び出していくと若い女性がキョロキョロしている。

 

この女性、話してみるとものすごく声が小さい、語尾も弱い。

~して、~したら、~で、と一向に文章が続いていく。

頭を常に下げながら話す。ぺこぺこするとはこのことだ。

 

話が終わりそうもないので「そうですか」と一言相槌を打つ。

 

眠い顔の僕はだるそうに「もう一度やってみましょう」と続ける。

 

僕が立ち合いのいもと、処理を行っていくと問題なく給油ができた。

 

「また不明点やトラブルあれば遠慮なく呼び出してください」と形式的に伝え、その場を離れる。

 

「ありがとうございます」と弱弱しく、寝起きの僕にお礼の言葉をくれたその女性。

 

無事給油できた女性は一人車に乗り込み帰っていった。

 

僕はぼさぼさの頭でそれを見送る。

 

ふと、思ってしまった。

 

なぜ彼女はあんなにキョロキョロしていたのか。客ならもっと偉そうに自信たっぷりでいいのではないだろうか、と

謙虚さなのか、申し訳なさなのか。

 

そんな彼女とは対照的な自尊心とふてぶてしさで固められた私はいったいなんなのか。

 

ちらっと時計を見ると朝の5時。

 

どうやら世の中では一日がはじまったようだ。

 

事務所に戻った僕は再び枕に身を預けた。